自動車保険の等級は、保険料に非常に大きな影響を与えます。
20等級なら約63%の割引、6等級(新規)なら割引なし。同じ補償内容でも等級の差だけで年間数万円変わりますので、せっかく育てた等級を無駄にするのは本当にもったいないことです。
この記事では、等級を正しく引き継ぐためのルールと具体的な手続き方法を解説いたします。
等級制度の基本
自動車保険のノンフリート等級制度は1等級から20等級まであります。新規加入は6等級からスタートし、1年間無事故なら1等級アップ、事故を起こすと3等級ダウン(事故の内容による)する仕組みです。
等級が高いほど保険料が安くなるため、長く無事故で運転している方ほどお得になる制度となっています。
等級を引き継げる5つのケース
1. 保険会社を乗り換える場合
保険会社を変えても等級はそのまま引き継げます。これが一括見積もりで保険を乗り換える方が多い理由です。A社で15等級ならB社に移っても15等級からスタートできます。
等級だけでなく「事故有係数適用期間」も引き継がれます。事故を起こして等級が下がっている場合、その情報も次の保険会社に引き継がれるため、事故歴を隠して乗り換えることはできません。
2. 車を買い替える場合
車を買い替えた場合も、「車両入替」の手続きをすれば等級はそのまま引き継げます。納車前に保険会社に連絡して、車両情報を変更するだけです。
納車日に保険が切り替わっていないと、新しい車が無保険状態になってしまいますので、必ず事前に手続きを済ませておきましょう。
3. 家族に引き継ぐ場合
等級は同居の家族に引き継ぐことができます。たとえば、親御さんが20等級で、お子さんが免許を取って車を購入した場合、親御さんの20等級をお子さんに引き継ぎ、親御さんは新規の6等級からやり直す方法が取れます。
若い方の保険料は高いため、等級引き継ぎのメリットが特に大きくなります。家族トータルの保険料が安くなるケースが多いです。
引き継ぎできる家族の範囲
- 配偶者
- 同居の親族(親、子、兄弟姉妹など)
なお、別居のお子さんには引き継ぎができません。大学進学で一人暮らしを始める前に手続きを済ませておくのがポイントです。

4. 中断して再開する場合
車を手放して保険を解約する場合、「中断証明書」を取得しておけば最大10年間等級を保存できます。海外赴任や車を手放すタイミングで取得しておくと、将来また車を持った際に高い等級で復帰できます。
中断証明書の取得条件
- 保険の満期日(または解約日)までに車を手放していること
- 中断時の等級が7等級以上であること
- 満期日(解約日)から13か月以内に申請すること
5. 結婚で姓が変わった場合
結婚で姓が変わっても等級はそのまま引き継げます。保険会社に名義変更の届け出をすれば完了です。
等級が引き継げないケース
- 保険の空白期間が8日以上ある場合:前の保険の満期から8日以上間が空くと等級がリセットされます
- 別居の親族への引き継ぎ:同居していない家族には引き継げません
- 他人への引き継ぎ:家族以外には引き継げません
- 中断証明書の有効期限切れ:10年を超えると無効になります
等級の引き継ぎ手続きのやり方
保険会社乗り換えの場合
- 新しい保険会社で見積もり・申込みをする
- 申込み時に「前契約の等級」「保険会社名」「証券番号」を入力
- 新しい保険会社が前の保険会社に等級を照会
- 等級が確認されて、引き継いだ等級で契約成立
特別な書類は不要で、オンラインで完結する場合がほとんどです。ただし、前の保険の満期日に合わせて新しい保険が始まるように手続きすることが重要です。空白期間を作らないようにしましょう。
家族への引き継ぎの場合
- 現在の保険会社に「記名被保険者の変更」を申請
- 変更後の記名被保険者(家族)の情報を提出
- 同居の家族であることを確認(住民票など)
- 等級が引き継がれた状態で契約が継続
等級制度の詳細については日本損害保険協会のサイトで確認できます。また、金融庁でも保険に関する消費者向け情報が公開されています。

等級を上手に活用するテクニック
家族で等級をやりくりする
家族の中で一番等級が高い方の等級を、保険料が高くなりがちな若い家族に引き継ぎます。等級を譲った方は6等級からやり直しになりますが、家族トータルでは安くなることが多いです。
小さな事故は保険を使わない
保険を使うと3等級ダウンして「事故有係数」が適用され、保険料が大幅にアップします。修理費が10万円以下であれば自腹の方が長期的に安くなるケースが多いため、慎重に判断しましょう。
中断証明書は必ず取得
車を手放す際は、たとえ当面車に乗る予定がなくても中断証明書は取得しておきましょう。無料で発行でき、10年間有効です。保険の「等級貯金」として持っておいて損はありません。日本FP協会でも保険の賢い使い方について情報を発信しています。
よくある質問
Q. 等級の確認方法は?
現在の保険証券やマイページで確認できます。不明な場合は、加入中の保険会社に問い合わせればすぐに教えてもらえます。
Q. 等級が下がった場合、元に戻るまで何年かかる?
3等級ダウン事故の場合、3年間無事故で元の等級に戻ります。さらに事故有係数適用期間も3年間続くため、実質的な影響は3年間にわたります。
Q. 配偶者が別居していても等級を引き継げる?
配偶者に関しては、別居であっても等級の引き継ぎが可能です。これは配偶者のみの特例で、それ以外の親族は同居が条件となります。
まとめ
- 保険会社を変えても等級はそのまま引き継げる
- 同居の家族になら等級を引き継ぎできる
- 空白期間を8日以上作ると等級がリセットされるので注意
- 車を手放す時は中断証明書を必ず取得(10年間有効)
- 家族で等級をやりくりして、トータル保険料を下げるテクニックも
等級は長年の安全運転で築いた大切な「資産」です。知らないばかりにリセットされてしまったら本当にもったいないですので、引き継ぎのルールはしっかり覚えておきましょう。
等級引き継ぎについてさらに詳しいQ&A
Q. 等級を引き継ぐとき、保険会社から何か書類は届きますか?
保険の満期前に、現在加入中の保険会社から「満期のお知らせ」が届きます。この書類には現在の等級、事故有係数適用期間、満期日などが記載されておりますので、新しい保険会社に乗り換える際にはこの情報が必要になります。また、等級の情報は保険会社間で共有されるデータベース(損害保険料率算出機構の情報交換制度)で照合されますので、虚偽の申告はできない仕組みになっています。書類を紛失しても、現在の保険会社に問い合わせれば等級証明を再発行してもらえます。
Q. セカンドカー割引とは何ですか?等級にどう影響しますか?
セカンドカー割引(複数所有新規割引)とは、既にお車を1台お持ちの方が2台目の車を新規で保険に加入する際、通常の6等級ではなく7等級からスタートできる制度です。7等級は6等級よりも割引率が高いため、保険料が安くなります。条件としては、1台目の車が11等級以上であることが必要です。2台目の車の所有者や記名被保険者が、1台目の記名被保険者と同居の家族であれば利用できますので、ファミリーで2台持ちする際はぜひ活用してください。
Q. 1等級まで下がってしまったらどうなりますか?
1等級になると保険料に大幅な割増が適用され、年間保険料が非常に高くなります。さらに、1等級の状態で満期を迎えると、新しい保険への加入を断られるケースもございます。1等級から元に戻すには、無事故で5年以上かかります。なお、保険を解約して13か月以上空白期間を設ければ等級はリセットされ、新規の6等級から再スタートできますが、その間は無保険になるリスクがありますので慎重にご判断ください。

※この記事は記事執筆時点の情報に基づいて作成しています。保険制度は変更される可能性がありますので、最新情報は各保険会社にお問い合わせください。


