「車を売ったのだけれど、確定申告は必要なのだろうか」「税金がかかると聞いたが、いくら払えばいいのか」と不安になっていらっしゃる方もいるのではないでしょうか。
結論から申し上げますと、通勤や買い物に使っていた日常のお車(生活用動産)を売った場合、確定申告は基本的に不要でございます。ただし、レジャー用の高級車や事業用のお車を売って利益が出た場合は確定申告が必要となります。ケース別に詳しく解説してまいります。
車の売却で税金がかかるかどうかは「その車の用途」で決まります。ほとんどの方は確定申告不要ですが、念のためご自身のケースを確認しておきましょう。
車の売却で確定申告が必要かどうかの判断基準
車の売却で税金がかかるかどうかは、その車の用途によって判断されます。
| 車の用途 | 確定申告 | 備考 |
|---|---|---|
| 通勤・日常生活用 | 不要 | 生活用動産として非課税 |
| レジャー・趣味用 | 利益50万円超で必要 | 譲渡所得として課税 |
| 事業用(個人事業主) | 必要 | 事業所得 or 譲渡所得として処理 |
それぞれのケースについて詳しく見てまいりましょう。
ケース1:通勤・日常生活用の車を売却した場合(確定申告不要)
通勤や買い物、お子様の送迎など、日常生活に使用しているお車は「生活用動産」として扱われます。生活用動産の売却は所得税法上、非課税と定められております(所得税法第9条)。
つまり、いくらで売れても税金はかかりませんし、確定申告も不要でございます。ほとんどの方はこのケースに該当するはずでございます。
ただし注意点が一つございます。通勤用のお車であっても、購入価格より高く売れた場合で、そのお車が「1個または1組の価額が30万円を超える貴金属・骨董品等」に該当するような高級車の場合は課税対象になる可能性がございます。とはいえ、通常のお車は減価償却により価値が下がりますので、購入時より高く売れること自体がほぼないのが実情でございます。

ケース2:レジャー・趣味用の車を売却した場合
週末のドライブ専用、サーキット用、コレクション用のお車など、生活に必要のないお車は「生活用動産」に該当いたしません。趣味のお車は高額になりがちでございます。この場合、売却して利益が出ましたら「譲渡所得」として課税対象となります。
譲渡所得の計算方法
計算式は以下の通りでございます。
譲渡所得 = 売却価格 −(取得費 + 譲渡費用)− 特別控除50万円
- 売却価格:車を売った金額
- 取得費:車の購入価格から減価償却費を引いた金額
- 譲渡費用:売却にかかった費用(広告費・手数料など)
- 特別控除:50万円(年間合計で50万円まで控除可能)
つまり、利益が50万円以下であれば特別控除の範囲内ですので、税金はかかりません(ただし確定申告自体は必要な場合もございます)。
計算例
500万円で購入したスポーツカーを、5年後に300万円で売却したケースでございます。
- 取得費:500万円 − 減価償却費(約350万円)= 約150万円
- 譲渡所得:300万円 − 150万円 − 50万円 = 100万円
- この100万円に対して所得税・住民税が課税されます
クラシックカーやスポーツカーなど希少車の場合、購入価格より高く売れることがございます。その場合は確定申告が必要になりますので、売却額と購入額を必ず記録しておきましょう。
ケース3:事業用の車を売却した場合
個人事業主やフリーランスの方が事業で使用しているお車を売却された場合は、確定申告が必要でございます。
事業用のお車は固定資産として減価償却していることが多いため、売却時は以下のように処理いたします。
- 帳簿価額(残存簿価)より高く売れた場合:差額が事業所得 or 譲渡所得として課税
- 帳簿価額より安く売れた場合:差額が事業所得の損失として計上可能
事業用のお車の売却は仕訳処理も必要でございますので、ご不安な場合は税理士にご相談されることをおすすめいたします。確定申告の時期に慌てないよう、売却された年のうちにご相談されるのがベストでございます。

車の売却で確定申告が必要な場合の手続き
確定申告が必要な場合の手続きを整理いたします。
- 必要書類を準備:売買契約書(売却価格の証明)、車の購入時の書類(取得費の証明)
- 譲渡所得の計算:上記の計算式で算出
- 確定申告書の作成:国税庁の確定申告書等作成コーナーで作成可能
- 申告・納税:翌年の2月16日~3月15日に申告
車の売却に関連するその他の税金
自動車税の還付
車を売却(抹消登録)しますと、自動車税の未経過分が月割りで還付されます。ただし、買取業者に売却された場合は還付金が査定額に含まれているケースが多いため、事前にご確認ください。
消費税
個人がお車を売却される場合、消費税はかかりません。ただし、個人事業主が事業用のお車を売却される場合は消費税の課税対象になることがございます。
確定申告で損をしないためのポイント
- 売買契約書は必ず保管しておく(売却価格の証明に必要)
- 車の購入時の書類も保管しておく(取得費の証明に必要)
- 事業用車は売却した年のうちに仕訳処理を行う
- 判断に迷ったら税務署か税理士に相談する
よくある質問(FAQ)
Q. 通勤用の車を売って100万円もらいましたが、確定申告は必要ですか?
通勤用のお車は生活用動産でございますので、確定申告は不要でございます。いくらで売れても非課税ですのでご安心ください。
Q. 車の購入時の書類がないのですが、取得費はどうなりますか?
購入時の書類がない場合は、売却価格の5%を取得費として計算できます(概算取得費)。ただし、実際の購入価格より低くなることが多いですので、できるだけ購入時の書類は保管しておかれることをおすすめいたします。
Q. 確定申告しなかった場合はどうなりますか?
申告が必要であるにもかかわらずしなかった場合、無申告加算税(15~20%)や延滞税が課されます。悪質な場合は重加算税(35~40%)が課されることもございます。ご心配であれば国税庁のサイトや管轄の税務署にご相談ください。
Q. 車をもらった(贈与された)場合はどうなりますか?
お車を無償で受け取られた場合は、年間110万円を超える価値のお車であれば贈与税の対象となります。もらったお車を売却された場合は、取得費をゼロとして計算することになります。
Q. 法人名義の車を売却した場合は?
法人名義のお車の売却は法人税の課税対象となります。売却益は特別利益として計上し、帳簿価額との差額が損益に影響いたします。法人の場合は顧問税理士にご相談されることをおすすめいたします。

まとめ:車の売却で確定申告が必要なケースは限られます
- 通勤・日常生活用の車 → 確定申告不要(非課税)
- レジャー・趣味用の車 → 利益50万円超で確定申告が必要
- 事業用の車 → 確定申告が必要
- 売買契約書と購入時の書類は必ず保管しておく
- 判断に迷ったら税務署か税理士にご相談を
車の売却と確定申告の関係をまとめますと、ほとんどの方は確定申告不要でございます。ご自身のケースがどれに当てはまるかを確認していただき、必要な場合は早めにご準備をお進めください。


